2013年9月28日土曜日

オランジュリー美術館〜モネの『睡蓮』〜


オランジュリー美術館に行ってきた。
オランジュリー美術館は、コンコルド広場の近く、チェイルリー公園の一角にある。

Musée de l’Orangerie
Jardin des Tuileries 75001 Paris
<オランジュリー美術館入り口>

ルーブルやオルセーに比べると小さい美術館ではあるが、モネ、セザンヌ、ルノワール、ピカソ、マティス、モディリアーニなど、印象派とポスト印象派の画家の作品が収められている。

オランジュリー美術館の代表作品はモネの『睡蓮』である。

<この先が「睡蓮の間」、残念ながら撮影禁止>

オランジュリー美術館は、もともとはテュイルリー宮殿のオレンジ温室(オランジュリー)だったが、1927年、モネの『睡蓮』の連作を収めるために美術館として整備された。

モネは生涯200枚以上の睡蓮を描いたとされているが、この美術館の睡蓮は死ぬ直前まで描かれたものとされている。

以下はオランジェリー美術館の『睡蓮』に関する制作エピソードである。


【エピソード】
パリのオランジュリー美術館の2部屋を占める『睡蓮』の大壁画は、1918年、モネの友人でもあったジョルジュ・クレマンソー(首相経験者)を通じて、モネが国家に寄付を申し出たものである。この『睡蓮』の展示にあたっては(1)『睡蓮』の部屋には他の作品を展示しない、(2)作品と観客との間に仕切りやガラスなどを設置しない、などモネ自身によって厳しい条件が付けられている。モネが1923年にしぶしぶ白内障の手術を受けたのは、この大作を完成させるためだったという。作品の出来に満足していなかったモネは一時は国家への寄贈を取りやめようとさえ思ったが、クレマンソーはモネに対し「あなたのために国家は多額の出費をした。あなたには寄贈を取りやめるという選択肢はない」との書簡を送った。モネは死の直前までこの大作に筆を入れ続けた。そして「作品の展示は自分の死後にしてもらう」という条件だけは断固として貫いたのである。モネは1926年12月5日、86年の生涯を閉じ、『睡蓮』の大壁画は翌1927年、正式にフランス国家に寄贈された。

このオランジェリー美術館の『睡蓮』展示室は、上記モネが要求した条件が守られている。モネが課した条件は以下の通りである。

・部屋を円形に造り、周囲を囲むように絵を飾ること。
・部屋には「睡蓮」だけを展示すること。
・絵は自然光の下で見るようにすること。
・内装は白で統一していっさいの色をつけないこと。
・見る者と絵を遮るいっさいのものを置かないこと。
・そして、展示は死後行うこと。

オランジェリー美術館の『睡蓮』の展示室は見事に上記の条件が再現されていた。
1960年代、スペース拡大のための改装により自然光が奪われてしまったため、2000年から6年間かけてモネの構想通り「睡蓮の間」が再建されたそうである。

「睡蓮の間」に足を踏み入れた時、4年前に訪れた香川県直島の地中美術館を思い出した。地中美術館もモネの構想した「睡蓮の間」を再現した美術館である。

どちらの「睡蓮の間」もモネの絵画の魅力を引き立てている。これだけの空間が1つの作品に充てられていることを考えると、モネという画家の偉大さが良く分かる。

【モネの「睡蓮の間」:オランジュリー美術館と地中美術館の比較】

オランジェリー美術館と地中美術館の「睡蓮の間」を比較する。甲乙をつけがたいが、結論で言えば、自分が好きなのは地中美術館の「睡蓮の間」である。
オランジュリー美術館の「睡蓮の間」は、モネの要求を完全に再現しているし、モネはフランスの画家である、オランジュリーのものがオリジナルの「睡蓮の間」であることは間違いない。白で統一された円形の部屋は、『睡蓮』の柔らかな印象をより一層引き立てているし、『睡蓮』で覆われた部屋は、見る者をモネの世界へと導いてくれる。茫漠とした空間は、失明状態ながらも絵を描き続けたモネの伝えたかった世界が体感できる。

<オランジュリー美術館「睡蓮の間」>
http://www.bonjourparis.com/story/finding-monet-musee-orangerie/より
<局面に展示されている『睡蓮』>
http://www.bonjourparis.com/story/finding-monet-musee-orangerie/より

一方、地中美術館の「睡蓮の間」は、圧倒的な空間の迫力が体に伝わってくる。地中美術館の「睡蓮の間」は靴を脱ぎ、スリッパを履くところから鑑賞が始まるが、その空間は完全に異空間である。神々しさがあり、地中美術館の方は『睡蓮』が鮮やかに見える。幾つかモネの要求と違う点があるが、安藤忠雄は現代の建築技術によってモネの作品を最大限に引き立てていると思う。モネは親日家であったと聞く。日本で「睡蓮の間」が再現されていることをモネが知ったら、どんな反応をするであろうか。

<地中美術館「睡蓮の間」>
http://blogs.yahoo.co.jp/ckk00539/GALLERY/show_image.html?id=30040025&no=7より

どちらの美術館も太陽光で作品を照らしているため、日によって印象は違ってくる。どちらが好きかは完全に好みだと思うので、モネの睡蓮が好きな人は、是非両方の美術館に足を運んでもらいたい。

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